細かい文字が次第に読みにくくなり、顔に頭に
しわや白髪が目立ち始める。
そして、様々な場面で身体の衰えを感じ始めるのが
「初老期」というものです。
この時期は「思秋期」とも呼ばれており
人によって様々ですが、
早い人では四十代から感じ始めます。
「思春期」が、大人になるために
心や体が大きく変化する時期であり、
それにどう対処し乗り越えて行けば良いのか思い悩みながらも、
誰もが通らなければならない苦しい戦いの時であるように、
「思秋期」もまた人生の大きな転機であり、
また戦いの時なのです。
これまでしていたことが次第に出来なくなり、
物忘れが激しくなるとともに
新しいことがなかなか覚えられないことなどから、
不安やあせりを感じ始めます。
何度も同じことを聞くことをためらい、
もう歳だからダメだと諦めることから、
自分の世界をどんどん狭くしてしまうものですが、
むしろ「今は新しいことを覚えるのに三倍の時間が必要だ」
と認めてしまえば済むことなのです。
また、この時期は「ウツ状態」になりやすい時で、
ウツは喪失感からやってきます。
この時期は自分が人生の新しい局面に向かう時でもあり、
あらゆる意味でウツになる要素を兼ね備えた時であり、
誰でも不安になるのはむしろ当然ですから、
こんなはずはないと否定するのではなく、
そういう年代になったのだと正しく受け止めることで、
それほどひどく落ち込まなくても済むのですが、
真面目でこれまでバリバリとなんでもこなしていた人ほど
陥りやすいものです。
やがて私達は更に年を重ね、
「老年期」という時期を迎えます。
どうにも頑張りが効かなくなり、
否応なしに自分の体の衰弱を認めざるを得ない時です。
そしてついには「老衰期」を迎え、
この地上での生涯を終えるのです。
ある婦人が年をとり、
やがてボケの症状も加わって言葉を失っていきました。
しかし、最後まで忘れなかったのは・・・
「まあステキ!」「ありがとう」「良かったね」という、
たった三つの美しい言葉だったのです。
あなたの最後には、
いったいどんな言葉が残るのでしょうか。
それぞれの時をふさわしく生き、
美しく老いていきたいものです。