夫婦漫才

仕事で近くを通りかかったので、
親しくしている老夫婦を久しぶりに訪ねました。

お二人ともお元気そうで安心しましたが、
80歳を過ぎたご主人は相変わらずの毒舌家で

「アイツは馬鹿でコイツも馬鹿・・・
まったくロクな奴がおらん。
オレならもっと上手くやってやるのに」と、

政治家や役場のお偉いさんたちの話題を
アレコレと持ち出しては、怒り心頭のご様子。

まっ、いつものことなので、
「アハハ・・・困ったものですねぇ♪」と
笑いながら聞いてたんですが、

奥様の方といえば、
これもまた、いつものことで、

お茶を入れて下さいながら
「オジイさん、そんなに人様のことを
悪く言うもんじゃありませんよ」と
ご主人をなだめたり叱りながらも、

やがて

「本当にこんなに偉い人が、
私みたいなものと一緒に居て下さるんだから
なんだか申し訳ないみたいですよねぇ。
ありがたやありがたや」と、手を合わせながら
私に目配せして笑っていらっしゃる。

本来なら、過ぎるほどの毒舌を吐くご主人に対して
それを帳消しにするようにフォローし、
絶妙の合いの手をお入れになる奥さん。

いつもながら、夫婦漫才を見ているような
心地よい感覚を覚えながら、

このご主人が、影で奥さんに支えられてこそ
好き勝手に毒舌が吐けるように、

きっと私も気付かないところで、
家内に支えられるんだろうなぁ・・・と、

あらためて妻というものの有り難さを感じた、
今朝のオヤジなのでした。

信じるということ

「信じていた人に裏切られた」と
先日、知人が愚痴をこぼしにやってきました。

人は、誰かに一度大きな裏切りにあってしまうと
その後遺症から、人を信じることが怖くなってしまいます。

でも・・・信じ続けましょうよ!! と私は思います。

「信じていたのに・・・」と愚痴を言うのはまだ早すぎます。
そして「裏切られた」と思うのは、
ひょっとしたら、勘違いなのかも知れません。

人との関わりにおいては
「信用する」ということと「信じる」ということがありますが、
この二つの似た言葉は、まったく別のものだと私は思います。

「信用する」ということは、相手を評価した結論であるのに対して、
「信じる」ということは、自分の心が決めることであり、
「信じる」ことは、完全が選んだ能動的な結論なのだと思います。

「信用」では、人は損得勘定でしか生きられませんが、
「信じる」ことで、逆境を乗り切って生きることさえできます。

たとえば銀行が、いくら人が頑張ってるからといって
「人を信じて」お金を貸したりしますか? 

銀行に限らず「商売」というものは、所有しているモノに対しての
「信用」という評価によって取引をするだけで、
頑張っているという「心」ではなんの担保にもなりません。

人と人との交わりは、決して商売ではありません。

あなたが「信じていたのに・・・」と言うならば、
私はこう言いたいんですよ。

「本当になんの見返りなど求めず、相手を心の底から信じていたの?」

もし「はい」と答えられるほどの人に裏切られたのなら、
許してあげることだって、きっと出来るような気がします ^ ^

人は「誰かに心から信じられている」と知った時、
裏切ることなど決してできない生き物だと、私は思います。

それでも裏切る結果を出さなければならなくなった相手は、
きっと、あなた以上に後悔しているはずだと思うから・・・

「もういいから、苦しまないで下さいね」と言ってあげましょうよ

そしたら、二人ともきっと幸せになれると思います。

知識が知恵になるように

最近知り合った、87歳のおじいちゃんが居らっしゃいます。

いつもまわりの方に感謝の言葉を投げかけながら、
「おかげさまで・・・ 」と言いながら、
いつもニコニコと笑顔が絶えません。

昨日も近くを通りがかったついでに声をかけ、
少しお邪魔してお茶をいただきながら、
あれやこれやとお話をしましたが、

「アンタみたいに勉強しとらんから、
わたしゃ、な~んも知らんがね」と笑いながらも

私がこれまで何年も掛けて懸命に学んできたことを
いとも容易く、簡単な言葉に置き換えられるたびに

参ったなぁ・・・そんな簡単なことを
オレは今まで偉そうに語ってたのか・・・。と

お会いするたびに、いつも自分の愚かさに気付かされます。

これからもきっと本を読んだり
人の言葉を聞きながら学び続けようと思いますが、

知識として溜め込んでる内はダメだ・・・
年寄りの知恵となるまでに高めなくては、と

あらためて肝に銘じるオヤジなのでした。

良い話と悪い話

家内が仕事中に顔を出し、
「ちょっと話ができる?」と言ったんです。

「どうした? ややこしい話か?」と尋ねると、
「いい話と、悪い話があるんだけど・・・」というものだから。

急ぎの仕事をしている最中だったので
「今、忙しいから片方だけ頼むワ」と答えると

「ふ~ん・・・どっちから訊きたい?」と彼女は笑ったんです。

どちらも結果的には、どうでも良い内容の話だったんですが、

さて、みなさんは「良い話と悪い話・・・
どっちから訊きたい?」と尋ねられたら、
どちらからお訊きになるのでしょう?

私の場合は「悪い話」から聞いたんですけどね。

そういえば、以前こんな笑い話を読みました。

仕事ばかりで自分をかまってくれない妻が、
ある時、夫にこう切り出しました。

「良い話と悪い話があるんだけど、どっちを訊きたい?」

「忙しいことは知ってるだろう、
つまらないこと訊かずに早く話せよ」と夫が言うと

「私、もうあなたにはついていけないから
別れることに決めたの」と、妻は言ったんです。

夫はしばらくの沈黙のあと、

「・・・・そうか、分かった。
・・・・で、悪い話の方はなんなんだ?」

と尋ねたそうです。