親に遺言書を書いてもらう方法

遺産相続では、相続人の間で良くトラブルが起こるのですが、
これは、誰がどういう遺産をもらうかという遺産分割協議の際に、
意見が合わないことから揉めてしまうことが原因です。

予め遺言書に誰がどの遺産をもらうかを書いてもらっておけば、
相続トラブルの大半は回避できるものなのですが、
遺言を書いて欲しいなんてことは、親でも頼みにくいものですし、
また、言ったところで聞いてくれない親もいるのです。

そこで「親に遺言書を書いてもらう方法はないですか?」と
良くセミナー等でご相談いただくものですから
今日は、親に遺言書を書いてもらうための方法を
少しだけお話ししようと思います。

ただし、あくまでも親の自由意思に任せるのが原則ですから、
無理矢理に遺言書を書かせるのは禁物ですからね。

 

まずは、親御さんに「遺言書がないことのリスク」というものを
理解してもらうことが何よりも重要です。

というのは、遺言書を書かない親というものは、
遺言書がないとどのような問題が起こるのかが
実際にわかっていないことが、とても多いからなんです。

「ウチは大きな遺産など無いから必要ない」とか、
「ウチは遺産相続で揉めるような家族ではない」という
勝手な思い込みがあるため、この誤解を解く必要があるのです。

実際、世の中の遺産相続争いの大半が
資産総額5千万以下の、普通の家庭で起こっており、
決して大富豪の家庭で相続争いが起こるのではないのです。

ネット等で遺産相続について勉強なされば分かると思うので、
まずは自分で知識を得ながら、
親の(ひょっとしたらご自身も)誤解を解きながら
遺産の相続争いは他人事ではないということを
知ってもらうことが大切です。

 

次に「ウチは仲が良い家庭だから」と思い込んでいる方にも、
一言申し上げたいのです。

確かに仲が良いのでしょうから「ウチの家族が揉める筈が無い」
と思われるのは間違いないだろうと思いますが、
現実になると少し違うのです。

何故かと言えば、
相続をする家族には「他人」が含まれている場合があるのです。

ここで言う「他人」とは、
例えば息子の嫁であったり、娘の婿などのことです。

べつに子供たちの伴侶を悪く言うつもりはありませんが、
やはり肉親ではありませんから、相続出来るものについては
どん欲になるのが当たり前のことであり、

相続にあたって「まあ、それはしょうがないよね」といった
肉親の間での「妥協」ということに対して、
納得できないことがあった場合に、口を挟むこともあるのです。

伴侶としても、自分の親や知人友人から
「ちょっとおかしいんじゃない?法律ではこうらしいよ」などと、
余計な知識を吹き込まれたりすれば

肉親の間では「これでいい」と決着しようとしても、
子供たちの夫婦間で揉めてしまうということが
かなりの割合で起こってしまうのが現実なのです。

 

そこで、遺言書がない場合には
具体的にどんなトラブルの可能性があるのか?
また、自分たちがどのような争いを繰り広げるかも?
ということを親に説明することで、
遺言書を書くことの重要性を分かってもらうことが、

親に遺言書を書いてもらうための方法のひとつなのです。

親の家をどうするのか?

家というものは、親が残す資産の中でも
大きな価値を持つモノのひとつです。

しかし現代社会においては、
この大きな資産であるべきも筈の「家」が、
場合によっては大きな「負債」となり得る状況になっています。

自分が親として、子供たちに家を残す立場の方もいらっしゃれば、
またそれを相続する子供の場合もあることでしょう。

いずれにしても、親の死後にその家に誰も住まない
「空き家」という状況が年を追って増え続けていることから、
さまざまな問題が発生するのです。

現代社会では「核家族化」ということが言われて久しくなります。

子供たちは大学進学などで都市部へ旅立ち、
そして卒業してもやはり都市部で就職。

やがて結婚して家庭を持つと、そ
の地で自分の家を持つことが多いものです。

そのため、故郷にある実家(親の家)に帰って来るということは
殆ど無いといっても過言でない時代になってます。

そんな状況の中、親が死んでしまい
誰も住まなくなった「親の家」をどうするのか?ということが、
近年大きな社会問題になっているのです。

親が亡くなるという場合だけではなく、老人ホームに入所して、
実家に誰も住む人が居なくなるという場合もありますが、
思い出がたくさん詰まった家が空き家になった時、
その家をどうするのかを決めることは大変難しい問題です。

子供としては自分が生まれ育った家ですから、
誰も住まないとしても、そのままにしておきたいと思うのは
当然の心理ではあるものの、
家を維持して行くためには様々な問題があります。

家というものは年々老朽化していくため、
そのメンテナンスが定期的に必要であり、
まして誰も住まないというのであれば、
保守管理ということが大変難しい問題になります。

また、昨年施行された「空き家対策特別措置法」では、
自治体が空き家となった家屋を随時調査することによって、
「特定空家」に指定された場合には、
これまで建物が立っている土地では
固定資産税が6分の1になるという軽減措置が無くなるため、
これまでの6倍(実質は4.2倍以下ですが)の固定資産税を
払わなければならないということにもなりかねません。

空き家・空き地の活用方法は、
主に「売却する」「自分で住む」「人に貸す」「解体する」
の4つになると思います。

そしてこの4つの方法の中でも、
状況によっては、さらに活用方法の選択肢が増えるでしょう。

例えば自分が住む場合や人に貸す場合でも、
家の状態によってはリフォームが必要になるケースもあります。

また売却の場合であれば、中古戸建として売却するのか、
それとも建物を解体して土地を売却する方法も考えられます。

このように、その建物の状態や、地域、立地条件などによって、
どのような活用方法が最適なのか異なってきますが、
まずは家を売るのか、売らないのかが最初の分かれ道となります。

親の家をどうするのか?ということは
必要になってから考えるのでは遅すぎます。

まだまだ元気なうちに、どうするのが一番良い方法なのかを、
家族で相談する機会を持つことがとても大切です。