モノ忘れ

歳をとると「モノ忘れ」をしてしまうのが
ほとんどの方の悩みではないでしょうか?

かく言う私なども、
家内からは「もお!!言ったじゃない!!」と度々叱られ、
人との約束には「あと30分経ったら出掛けよう・・・」
と思っていたにも関わらず、

つい他のことをしてるうちにすっかり忘れてしまい、
遅刻をしてしまう・・・なんて言うような有様で、

「認知症になるかもよ・・・?」なんて笑いながらも
内心では大丈夫かな?って怯えております ^ ^

 
しかし、何とか認知症にならないようにしつつ、
意義ある人生をできるだけ楽しく、
皆さんにも長寿で過ごしていただきたいので、

今回は、認知症につながる危ない物忘れと、
特に気にしなくても良い
単なるモノ忘れの違いについて考えてみました。

 
各地で「モノ忘れドック」など、
モノ忘れの悩みを専門に扱う診療科が増えています。
 
 
東京の、ある「モノ忘れドック」では、
普段どんなモノ忘れをしているのかということを
詳しく問診してから、

特殊な「PET・CT」という検査で脳を撮影し、
画像と照らし合わせながら
認知症の危険度が診断できるといいます。

 
 
モノ忘れには
「覚えていたことを思い出せない」というものと、
「覚えていたことすら忘れて、また同じことを聞く」
という二つのタイプがあるといいます。

 
二階の部屋に何かを取りに来たのに、
いざ部屋に入ったら「何を取りに来たんだっけ?」
などという経験は、殆どの皆さんが思い当たるはず。

また、会話中に人や店などの名前が思い出せず
困ってしまうという体験も多いはずですよね。

 
同じ物忘れの中でも、
単にその場では思い出すことができないんだけど、
ちょっとヒントがあったら出てくるとか、
 
少し時間が経ったら思い出すというタイプの物忘れは
あまり心配する必要はありません。
 
 
記憶はその過程によって三つの段階で構成されています。
 
第一段階は新しく物事を覚える「記銘」
第二段階は覚えた情報を保存しておく「保持」
第三段階が保存した情報を思い出す「想起」です。

そして、先の例であげたタイプの物忘れは、
第三段階の「想起」の能力が衰えた結果であり、
認知症につながる心配は殆どありません。

もちろん脳の機能低下が起きてはいるんですが、
それは誰でも歳とともに起きる現象なので、
特に病的なものではないと言えます。
 
 
一時は忘れてもヒント等があれば思い出すこ とができる、
つまり「想起」が衰えることで起こる物忘れのタイプは
怯えるほど危険なものではないのです。

 
歳をとると、日常で同じことを何度も聞いてしまい、
周囲から指摘されることが続くと、
自分が認知症なのか?と心配になることもありますが、

 
まず自己診断として、
「聞いたこと自体は覚えているけど、忘れてしまった」
という理由で、何度も聞いてしまうという場合は、
前述した、保存した情報を引き出す「想起」の部分が
衰え始めているというタダの老化現象なので、
大げさに心配する必要はありません。

 
しかし、聞いたことや行ったことすら忘れしまい
初めて聞いたり、したような気持ちになってしまうのは、
覚えた情報をしまっておく「保持」の能力が
衰えてしまっている、少し心配な状態であり、

 
お年寄りが、すでにご飯を食べたのに
「ご飯はまだかい?」なんて言い始めたら
ちょっと危険だと言うことなんですね。

実は、覚えた情報を保つ「保持」という機能は、
加齢だけでは低下しない能力なのです。

 
情報を「想起する」・・・
つまり「記憶を引き出す能力が低下する」ことは
老化現象で仕方がないことなのですが、

情報を「保持する」・・・
つまり「記憶する能力自体が低下する」ということが、
認知症につながる危険な物忘れといわれます。

 
 
皆さんもこういったことを理解しながら、
心配の無い物忘れと、認知症の兆候である物忘れとを
しっかりと区別して生活していただきたいと思います。