家の片付けは大変

「生前整理」は、もちろんモノの整理ということが中心ですが、
もう一つの側面として、自分がこの世を去った後で
モノの整理や相続問題で家族が困らないように、
身辺においての整理をしておくという意味合いを持っています。

「生前整理」と似た言葉で「遺品整理」がありますが、
生前整理がその本人が生きている間に、自分がするのか、
本人の死後、家族によって行われる遺品整理では、
少々意味合いが異なります。

今日は、自分の手で片付けや整理をすることが
どうして必要なことなのか?ということを、
少しお話ししてみたいと思います。

 

皆さんが今どのような状況で生活していらっしゃるのか?

お子さんたちと同居なさる方・・・
お子さんたちと離れて生活なさる方・・・
配偶者とお二人で暮らす方・・・
お一人暮らしの方・・・
それぞれに状況は異なることとは思いますが、

あなたが亡くなった後、遺族があなたの遺品を、
必要なもの、不要なものを分けながら片付けるという作業は
想像を遥かに超えた大変な作業だということを、
まずは認識する必要があります。

私も仕事上、何度も「遺品整理」の現場に
立ち会わせていただいたことがありますが、
それはもう大変な作業であることを痛感させられました。

何も片付けをしないで亡くなった場合、
その家を片付けるという作業に一週間以上掛かるものです。
近くに暮らす遺族であれば問題ないのでしょうが、
遠距離で暮らす遺族であった場合は大変な作業となります。

一軒の家にある大量の「モノ」をすべて処分しようとした場合、
平均的な家庭でおよそ2トントラックで6台から8台もの
家具や調度品、また残すものやゴミとして捨てるべきものなど、
大量のモノを家の中に溜め込んでいたことに驚かされます。

家の中のモノを全部処分するということを前提で考えれば
専門業者の方に「全部処分して下さい」とお願いすれば、
お金は掛かるものの簡単なことなのですが・・・
いきなり業者の方に丸投げするにはいかない
さまざまな「事情」があるのです。

何故かというと、家の中には大切なものや貴重品が存在しており、
たとえば、タンス預金などの「現金」や、
銀行等の「通帳」「証券類」「権利証」、
「骨董品」や「貴金属」などの金目のもの、
「アルバム」や「手紙」「日記」等の
残しておくべき大切なものがあるため、
まずは遺族が家の中をくまなく調べ尽くしてからでなければ
業者にお願いするという運びにならないのです。

遺品整理をなさるというご遺族にお付き合いしたところ、
亡くなったお母様の自宅を片付けるということで
遠方からのご兄弟も集まって作業が進む中、

途中で古いアルバムやお母様が書かれていた日記などを見つけ、
ご家族が懐かしい想い出話を始められる度に作業が中断し、
一向に片付けが進まないという状況を見るにつけ

恐らく、一般的な家の遺品整理の場合、
残すものと捨てるものを仕分けするという作業だけでも、
かなりの日数は掛かるだろうと想像するとともに、
遠方からの遺族がこの作業をするためには
時間と労力、そして経済的にも
かなりの負担を強いられることは間違いありません。

ですから、皆さんが家族のために
「生前整理」をしておこうと思われる際には、
まずはモノの絶対数を減らす(捨てる)ことと、
残された遺族にとって「絶対に必要なもの」と
「必要かも知れないもの」を、
すぐに分かるようにまとめておくことが何よりも重要であり、
それが、ひいては遺族にとって、有り難いことだということを
認識していただきたいと思うのです。